国際事業に関するお役立ちブログ(八)

日本国の成長戦略に関する提案(6)

8,国際取引を支援するために有用な国際取引支援データベースの利用

1)国際取引実務等の学習の必要性

率直に言って、国際取引や契約書の参考とすべき書籍やデータは無数にある。ただ、存在する書籍やデータの全てが参考となる訳ではない。極端な話、間違った書籍やデータも多くあるからである。また、英文契約書を一読して、そのすべてを理解できる日本人は極めて少いと思われる。ところが、元来、物真似が好きで得意な日本人は、基礎的な知識を飛ばして、いきなり契約書例に飛びつき、それを真似るが、正当な知識のある契約相手に見透かされ、契約相手の戦略や戦術に嵌ってしまう。契約相手の戦略や戦術に嵌ってしまったことに気付くのは、自社が窮地に陥ったり、トラブルが発生して裁判や仲裁になってからと言うことになる。このことは、国際取引の交渉や国際契約書の作成に当たって、担当者は単純な物真似ではなく、その基礎となる事項をしっかりと学習したうえで取り組むか、各分野の専門家の協力を得る必要があるということである。それにはコストが掛かるが、将来のリスクの削減額と比較すると僅かと言える。

2)国際取引戦略・実務のデータベース

「国際取引戦略・実務に関するデータベース」があれば、それを参考にできる。例えば、ある企業の「取引戦略・実務編データベース」には、5,000項目以上の参考データが掲載されていて、知りたい事項について検索できるので、極めて高い有用性がある。これに匹敵するデータベースは他に見られないが、かかるデータベースの全データが最新のデータに更新されていればよいが、それは極めて難しいことである。そこで、国際事業、取引、契約に関係する方々は、面倒であるが、常に国際事業、取引、契約に関係する方々は、面倒であるが、常に各データが利用時点でも通用するか否かを吟味して利用しなければならない。国際事業戦略・実務は、日進月歩で変化しているからである。また、最近流行りのAIを利用すると、少ない正しいデータよりも多くの間違ったデータが勝ってしまう現象が現れることもあるので、気を付けねばならない。厄介であるが、これらは国際事業担当者の重要職務である。非常に古い話(紀元前300年頃)ながら、ユークリッドというギリシャの数学者が家庭教師をしていたエジプトのプトレマイオス1世から「先生の書物は難しいので、もっと優しい書物で勉強したい。」と言われた時の返事が、「幾何学(学問)に王道はございません。」と返答したということである。国際事業、取引、戦略、実務、契約等に携わる方々には、このような心掛けが必要であろう。

3)国際契約書のデータベース

英文のみ又は和文のみの国際契約書式ではなく、英文和文を対比した国際契約書式のデータベースがあれば極めて有用性がある。これについてもある日本企業が「国際契約書・条項編データベース」を発表していて、多数の企業の利用に供している。このデータベースには、500種の国際契約書式が搭載されていて、英文、和文及び中国語文で構成されている(中国語文を欠くものがある)。また、約13,000個の条項例も種別に区分けされて、英文および和文で搭載されている。条項例が搭載されているのは、契約書式を選択しても、その内容を構成している契約条項が利用者の意図する条項でない場合に、当該条項のみを差替えることがよいようにした配慮である。「国際契約書・条項編データベース」は日本人としては、和文と英文で契約内容が参照でき、極めて高い有用性がある。ただ、かかるデータベースと雖も、その中から、自社が希望する契約書式を選択することは、容易ではない。その選択に当たっては、先に述べた自社としてのビジネス・モデルがしっかりと構築していなければならないし、契約書作成過程では取引相手との交渉のために戦略や戦術を駆使しなければならないからである。ただ、データベース中の各データを参考として、先ず自社のビジネス・モデルを組み立てるか修正するためにも、データベース中の各契約書式や条項例が非常に参考となることは確かである。上述したような知識を持たず、学習をしないで、いきなりビジネス・モデルを構築できたり、データベース中の契約書式を選択したりすることは非常に難しいと言える。よって、このような「国際契約書データベース」を使いこなす為には、既に略記した国際取引実務等を研鑽する必要がある。

4)データベース構築

中国の古典「列子」に、愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)と言う説話がある。これのもともとは、次のような話である。中国に大行山と王屋山が現在の場所にあるのは、昔、愚公という老人が自宅の近くにあったこの二つの山が邪魔に考え、家族総出で山を崩し始めたが、この行為を見た智叟(ちそう)という人が、「山を人力で崩せるはずがない」と批判した。すると愚公は、「山は増えないから、人間が子々孫々この事業を続ければ、いつの日にか山を移せる」と答えた。それを聞いた天帝(神)が老人の心意気に感心し、二人の女神に山を背負わせ、これを現在の場所に動かしてやったという話である。

前記二つのデータベースは、愚公のような心意気で上記二つの山を構築するような感があったが、ブロガーの長年の努力の結果である。この経緯や長年続いている作業については、後に述べることとする。

(つづく)

◆IBD情報のご利用メリット

IBDのウェブには、「国際取引支援データベース」があり、それが、Aデータベース「取引戦略・実務編」(約5,000項目の国際取引と契約に関する解説文)」と、Bデータベース「国際契約書(500種類の契約書式・約10,000の契約条項例;日本語、英語および中国語)」があります。

日本企業にとって、国際ビジネスを輸出入ビジネス(売買)のみで推進するのではなく、他の取引形態を考えておかねばなりません。即ち、海外投資ビジネス、知的財産活用ビジネス、国際分業ビジネス等々を推進できるようにし、状況に適った高生産性ビジネスを目指す必要があります。IBDの事業が、国際事業を推進する皆様に参考となると確信しています。

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