国際事業に関するお役立ちブログ

日本国の成長戦略に関する提案(3)

3.ビジネス・チャンスは何処にある

1)諸外国の現状

現在の地球上では、いたるところで戦争が発生し、特に大国であるロシアと米国が戦争当事者となっているため、世界中が大混乱だ。中国は、米国に匹敵する大国と見られているが、内情がベールに包まれているので、正確に評価ができない。しかし不動産バブルの崩壊、老齢化問題、失業問題があるので、動けない状況のようである、。EU諸国は、特に経済同盟で発展してきているが、英国が抜けたので重しを欠き、ウクライナ支援でロシアと敵対し、あまり動きが取れない。中国に匹敵するインドは、古い慣習に引きずられ、一部の富裕層を除いて、国全体としての経済発展が遅々として進んでいない。その他の国々は、一部例外はあるが、経済発展が停滞している。

2)米国の覇権に陰りが見えている

米国のトランプ大統領は、強い米国に回帰するということで、特に経済政策を強引に進めている。しかし、彼の理想論は、経済学的観点から見ても、無理筋が大半である。それらは、米国の貿易の不振の原因が、外国の不当な貿易政策にあるとし、それを克服するために関税政策を駆使している。即ち、米国に輸入される外国の物品に高関税を課すということで、関税徴収で米異国財政を潤し、米国の貿易不均衡の是正という、一石二鳥を目指すものであるようだが、国際経済はそのような単純なものではない。以前、本ブログで記述したが、このトランプ流関税は、対米輸出へのブレーキになるが、米国の輸入業者を苦しめるものであって、国家の経済(貿易)政策としては大変にお粗末なものと言わざるを得ない。しかも、米国では大統領が、一時しのぎの場合を除いて、議会の同意を得ないでトランプ大統領のように安易に関税率を創設したり変更する権限はないと、米国裁判所も判決している。かかる貿易政策は、基本的には大きな間違いであろうから、トランプ大統領は、かかる大間違いを改めると思われる。
我が国政府は、米国との安保条約を維持することは最大の政策であるので、トランプ大統領の無理難題を飲まざるを得ない面があるが、トランプ大統領と心中する必要はない。せいぜい、我が国の経済担当大臣が、訪米して「大金を米国投資に充てる」というようなテクニカルな解決法で対応しておく程度が良かろう。常に、”TACO”対応を念頭に置いておくべきであろう。トランプ大統領の諸施策については、米国内でも多くの疑問や反対意見が高まっているが、対イラン戦争でも成功したとは言えず、それどころか、トランプ大統領がその施策によって米国を弱体化しつつあるという意見が米国の内外から発せられている。然しながら、かかる意見に依拠することなく、日本政府や日本企業としては、国際経済の現実を直視して、常に冷静に対応する必要がある。

3)ビジネス・チャンスへの対応

我が国は、昨今、物価上昇が続いているが、諸外国と比較すると、むしろデフレ基調にある。よって、輸出物品や技術、サービスの価格を引き上げても、競争力は十分にある。我が国の物品の品質は最高級であり、相当な競争力を持っている。しかも、諸外国の企業や人は、我が国の物品の品質に絶大の信頼を寄せており、我が国の技術やサービスを渇望している。かかる状況を冷静に判断すると、我が国企業がその気になれば、外国にビジネス・パートナーを見つけ出すことは、容易なのである。即ち、我が国企業にとってビジネス・チャンスは非常に多いと言える。然しながら、ビジネス・チャンスは先方から提示されるのではなく、また、他社から紹介されることはあっても、当該ビジネスから発生する収益の大部分は、紹介してきた他社に吸収されてしまい、自社には低収入で且つ大きなリスクを負担させられてしまうことがある。特に国際事業や取引に関して、その対応能力が低い場合、そうなってしまう。それを回避して、収益性の高い国際事業を展開するためには、その主体者である企業が自ら、国際事業を推進するための技量を身に着ける必要がある。社内で、それが無理なら、外部のプロ(国際ビジネスコンサルタント、渉外弁護士、国際会計士等)を利用する。

4.国際事業を推進するポイント

1)正確な情報(事業環境・取引相手)の知得

企業が自立し、高生産性の事業を行うためには、自社を取り巻く事業環境と取引相手を正しく理解することである。そのためには、部分的情報や不確実性のある情報だけでは危険である。ただ、ビジネス・チャンスは、突然に且つ仔細な事象から生まれることが多いので、これを見逃すことなくキャッチする必要がある。仔細な情報とは、単に細かな情報と云うことではなく、大きく多量な情報の一部として存在し、発見し得るものである。よって、これをいち早く発見する慧眼を必要とする。国際事業や取引に関係する情報は、外国語のものが多いが、大量な外国語情報の中から、求める情報を正確にキャッチする必要がある。即ち、良き1情報を得るためには、100情報を集めて正しく選択しなければならないのである。情報提供者の殆どは、無責任な他人であるので、外国語の有用情報の選択を敏速に行うためにAI情報やAI翻訳を利用することが多くなってっ来たが、肝心な部分は、企業自ら考え、当該外国語の真意を理解して当たる必要がある。特に、潜在的取引相手から発せられた国際契約書の提案等は、正確に理解しなければならない。そうでなければ、フェイク情報や素人の情報屋に踊らされ、正しい国際事業のビジネス・モデルや取引契約書の立案や検討は難しい。

2)(国際)事業のビジネス・モデル(目標、規模、利益、リスク)の創設

企業にとっての最大の課題は、自社の経営資源(ヒト・モノ・金・情報)をいかに有効活用するかであろう。そのために、経営資源の置かれた状況を多くの情報から判断し、国際事業を推進する具体的なビジネス・モデルを築く必要がある。ただ、ビジネス・モデルを築くことは、無から有を生むようなものではなく、過去から現在に至る国際事業乃至取引の多数の事例を基本に置き、それらを参考に組み立てるのである。そのためには、自己研鑽のうえ、他から学ぶと言う心掛けが必要である。国際事業や取引は、現在始まったものではなく、古代文明から今日に至るものである。よくIT、DX、AI等によりビジネス・モデルに大きな変化が生じた等と言う者がいるが、それこそ机上の空論者が言うことで、国際事業や取引の本質部分(人類の智慧)は数千年前から引き継がれ、変わっていないのである。よって、ビジネス・モデルの創設者は、ダイナミックに取引相手に自分が最良と考えたビジネス・モデルを提案すべきである。

3)国際事業戦略の策定

ビジネス・モデルは、経営資源と取引相手があって成り立つものである。ただ、どのように立派なビジネス・モデルでも、潜在的取引相手から認められない限り、その意義はない。そこで、潜在取引相手に理解して同意してもらうための戦略が必要である。その戦略とは、自社と潜在的取引相手が主に何をすることによって利益を出し、WIN-WINの関係を成り立たせると言うことである。よって、これは、双方が生産性の高い(高利益率の)取引となることの提案でなければならない。“何をすればTO DO WHAT”目的としている事業や取引が成功するかが戦略の策定である。自社側の利益追求のみでは、一時的には成功したようにも見えるが長続きしない。そこで、国際事業においても、取引相手との間で長続きをする均衡の取れた取引戦略を策定することが肝心なのである。

4)国際事業戦略を実現する戦術の策定

戦略を策定すると、次の段階で”如何にすればHOW TO DO” 策定した戦略を達成できるかの戦術を決める。戦術は、戦略を効率的に達成するための手段である。その古典的なものは、孫氏の兵法に言う「風林火山」のようなものである。いかに戦略が正しくとも、戦術を誤ると目的(高収益事業や取引)を達成できるものではない。戦略と戦術は切って離せないものではあるが、取引相手も同様なことを検討して実施してくることを認識しておく必要がある。即ち、取り引きする双方が、各々ベストの戦略と戦術を駆使するのであるが、この点は止むを得ないことである。そこで、取り引き相手の戦略乃至は戦術にすっぽりと嵌らないことが肝心なのである。この間取引交渉相手との間で多くのディベートが交わされることになるが、常に自社としてのスタンスを守りながら進める。

(つづく)

◆IBD情報のご利用メリット

IBDのウェブには、「取引戦略・実務データベース:Aデータベース(約5,000項目の国際取引と契約に関する解説文)」並びに「国際契約書データベース:Bデータベース(500種類の契約書式と約10,000の契約条項例;日本語、英語および中国語)」があり、会員様用に上記に関する基本的データを含んだ参考資料を搭載してご利用頂いている。これらを参考とすれば、この度のトランプ関税への対処策が見えてくる。

特に、日本企業にとって、国際ビジネスを輸出入ビジネス(売買)のみで推進することは、トランプ関税のような問題で、リスクヘッジか難しいので、他の取引形態を考えておかねばならない。即ち、海外投資ビジネス、知的財産活用ビジネス、国際分業ビジネス等々を推進できるようにし、状況に適った高生産性ビジネスを目指す必要がある。かかるビジネスは、一朝一夕で推進できないので、日常から専門英語、国際法、国際慣習法、商学、国際経済学、その他の必要知識を習得しておかねばならない。そのためにも、IBDのデータベースが、国際事業を推進する皆様に参考となると確信する。

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