日本国の成長戦略に関する提案(1)

1.国際事業の発展という観点からの日本国の成長方法
国際ビジネスのコンサルタントを長年やってきて、多くの内外の企業から国際事業の相談を預かって来た実績を踏まえ、日本国の成長の重要な要素である国際事業の発展という観点から日本国の成長戦略に関する私見を述べる。

1) 我が国の歴史と現状を正確に認識すべき
我が国は東南アジアにあって、小さな島国で、よくぞここまで発展してきたものだという感がある。日本列島に人が住み着くようになって数万年と言われているが、当時の人口が少なかったとはいえ、日本人は長い期間、自然の日光、空気、水、塩、動植物で食い繋いできた。その間、海外からの文化と文明を巧みに取り入れながら、わが国独自の文化と文明を築き上げ、みんなで助け合ってきた実績がある。勿論、天災等に遭遇したり、争いがあったりで、日本人にも貧富の差が現れ、様々な格差も発生し、その時々の個人的苦労は、想像を絶するかもしれない。ただ、現在の日本人は、例外があるものの、全て高い文化・文明を形作って逞しく生活している。即ち、日本人は努力人間として、自他ともに認められている。これが現在の日本国の礎である。

我が国は、第二次世界大戦の敗戦国であり、敗戦時(1945年)は、日本国中が廃墟化し、復興するには何十年もかかると言われた。しかし、米国からの圧力で、憲法改正、財閥解体及び農地解放で、我が国は生き返ったことも事実である。この事実は、敗戦国である我が国が戦勝国の米国を利用して、一層の文化・文明を高めたと言える。この間の日本人の努力は、世界に前例がない程である。これを語るには、戦前までの「富国強兵策」が基礎にあったことも忘れてはならない。

2)Japan as Number Oneは夢物語か
米国の社会学者エズラ・ヴォーゲル氏が、「ジャパン・アズ・ナンバーワン(Japan as Number One)』という本を発表したのは、1979年であった。確かに、第二次世界大戦後から1980年代にかけて、日本経済は破竹の勢いで成長した。しかし、1980年代末頃のバブルとその崩壊後、失われた40年ということで表現されるように、我が国は経済停滞時代に突入した。この間、郵政民営化が華々しく打ち上げられたが、国家の成長には殆んど寄与せず、また、民主党政権が3年間あったが、見るべき政策もないまま政権崩壊した。更に長期の自民党安倍政権が継続して、アベノミクス政策が採られたが、我が国に成長を齎したとは言えない。結局のところ、現在では国民の所得が停滞したまま、食品価格のみが極端に上昇しつつあり、日本経済全体がスタグフレーションの様相を帯び、日本国民の多くが苦しんでいる。今やJapan as Number Oneは、妄想で夢物語となった感がある。

3)経済停滞中の的外れ意見
我が国のGDP(国民総生産)は、620兆円以上もあるが、とっくに中国に抜かれ、最近ドイツにも抜かれ、間もなくインドに抜かれ、英国やフランスもすぐ近くに迫ってきている。また、一人当たり国民所得は、世界で40番目辺りを彷徨っている。かかる状況下で出ている我が国の成長を促進する全ての意見は、各々一理あるのではないかと感じられるが、残念ながら今のところ決定打は見当たらない。これらの意見は「名月を取ってくれろと泣く子かな(小林一茶)」の如く、実現性が程遠いものが殆どである。

4)日本国民間のギャップ
日本は、アジア諸国ではノーベル賞の最多受賞国であるし、科学、文学、芸術、スポーツ等においても、世界中で華々しい活躍をしている人達が多くいる。ところが、現在の日本人の大半は、金太郎飴のようになってしまい、レベルは高いのだが、面白みや発展性を欠くとも言われている。また、「出る杭は打たれる」現象が現れ、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」等という日本人独特の戯言迄出る始末である。テレビが大衆化された1957年頃、評論家の大宅壮一氏が、テレビに関して鋭く「1億(総)〇〇化」(〇〇は差別用語とされているので、敢えてここでは表示しない)と言い、問題となったが、これは戦後に流行った「一億総懺悔」等々に習った言い方である。その語句中の(総)は作家の松本清張氏が付加したようだ。かかっる差別用語は宜しくないが、マスコミの悪い部分及びそれに流されやすい日本国民の性格を表現している。これにも拘らず、我が国は文化ないし文明において世界の上層部にあることは間違いない。よって、日本人が努力すれば、今後も他国に勝る優位を保持できる可能性がある。

5)我が国の国際収支はどうなっているか
ここで、近年の我が国の国際収支[財務省発表 令和7年中 国際収支状況(速報)の概要 Ⅰ経常収支]を見てみると、以下の通りである。

金額 前年比
貿易・サービス収支 ▲ 4兆2,415億円 + 2兆1,952億円 (赤字幅縮小)
貿易収支 ▲ 8,487億円 + 2兆8,115億円 (赤字幅縮小)
輸出 107兆7,630億円 + 2兆6,656億円 (+ 2.5%増加)
輸入 108兆6,118億円 ▲ 1,459億円 (▲ 0.1%減少)
サービス収支 ▲ 3兆3,928億円 ▲ 6,163億円 (赤字幅拡大)
第一次所得収支 41兆5,903億円 + 1兆8,702億円 (黒字幅拡大)
第二次所得収支 ▲ 5兆4,688億円 ▲ 8,722億円 (赤字幅拡大)
経常収支 31兆8,799億円 + 3兆1,931億円 (黒字幅拡大)

 

「経常収支」は、「貿易収支」が赤字幅を縮小したこと等から、黒字幅を拡大した。
1.貿易・サービス収支:▲4兆2,415億円の赤字(前年比+2兆1,952億円赤字幅縮小)
「貿易収支」が赤字幅を縮小したこと等から、「貿易・サービス収支」は、赤字幅を縮小した。
(1) 貿易収支:▲8,487億円の赤字(前年比+2兆8,115億円赤字幅縮小)
輸出額が増加し、輸入額が減少したことから、「貿易収支」は赤字幅を縮小した。

  1. 輸出:107兆7,630億円(前年比+2兆6,656億円[+2.5%]増加)
  2. 輸入:108兆6,118億円(前年比▲1,459億円[▲0.1%]減少)

[参考1]令和7年分貿易統計(通関ベース:財務省関税局1月29日付公表)

(1) 輸出:110兆4,448億円(確報値:前年比+3兆3,573億円[+3.1%]増加、数量:同▲0.1%減少、価格:同+3.2%増加)

  1. 「商品別」では、半導体等電子部品(同+5,008億円[+8.2%])、食料品(同+1,911億円[+16.2%])、原動機(同+1,622億円[+5.6%]、数量:同+1.7%)等が増加。
  2. 「主要地域別」では、対アジア(同+3兆359億円[+5.3%])、西欧(同+5,804億円[+4.9%])等が増加。

(2) 輸入:113兆932億円(9桁速報値:前年比+3,773億円[+0.3%]増加、数量:同+3.7%増加、価格:同▲3.3%減少)

  1. 「商品別」では、電算機類(含周辺機器)(同+5,915億円[+18.1%]、数量:同+17.3%)、通信機(同+4,915億円[+11.7%])、原動機(同+3,432億円[+17.2%]、数量:同+6.2%)等が増加。
  2. 「主要地域別」では、対アジア(同+1兆8,042億円[+3.3%])、西欧(同+9,386億円[+6.8%])等が増加。

[参考2]原油価格(石油連盟の資料により財務省で算出)

  1. ドルベース:74.35米ドル/バレル(前年比▲11.3%)
  2. 円ベース:70,134円/キロリットル(前年比▲11.8%)

(2) サービス収支:▲3兆3,928億円の赤字(前年比▲6,163億円赤字幅拡大)
「その他サービス収支」が赤字幅を拡大したこと等から、「サービス収支」は赤字幅を拡大した。
[参考3]訪日外国人旅行者数(令和7年):42,683,600人(前年比+15.8%)
出国日本人数(令和7年):14,731,500人(前年比+13.3%)
(出典:日本政府観光局(JNTO))

2.第一次所得収支:41兆5,903億円の黒字(前年比+1兆8,702億円黒字幅拡大)
「直接投資収益」が黒字幅を拡大したこと等から、「第一次所得収支」は黒字幅を拡大した。
以上
(上記内容について疑問点があれば、財務省にお問合せ下さい。)
(つづく)

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