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1a021j 国際物品売買契約に関する契約案

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国際物品売買契約に関する契約案

[注:これは、国際物品売買契約に関する国際連合条約中の、特に契約に直接的に関係する部分の抜粋です。]

★★★★★ 第II部 契約の成立

第14条
1.一以上の特定の者に宛てられた契約締結の申込みは、それが、十分に確定的であり、受諾の場合には拘束されるとの申込人の意思が表示されているならば、オッファーを構成する。申込みは、それが物品を表示し、明示、黙示を問わず数量及び価格を定め又はそれらを決定するための規定を置いているならば、十分に確定的である。
2.一以上の特定の者に宛てられたもの以外の申込みは、そうでないことが申込みを行う者により明確に表示されていない限り、オッファーをする勧誘にすぎないものとみなされるべきである。

第15条
1.オッファーは、それが被申込人に到着した時に有効となる。
2.オッファーは、たとえそれが取消不能とされているとしても、撤回の意思表示がオッファー到達の前に又はそれと同時に被申込人に到達すれば、撤回することができる。

第16条
1.契約が締結されるまでは、取消しが被申込人が受諾を発信する前に被申込人に到達すれば、当該オッファーは、取消すことができる。
2.但し、次の場合にはオッファーは取消すことができない。
a)当該オッファーが、受諾のための確定期限を述べることによると又はその他の方法によるとを問わず、取消不能であると表示している場合、或いは
b)当該オッファーが取消不能であると信頼することが被申込人にとって妥当であり、且つ被申込人がその信頼に基づいて行動した場合。

第17条
オッファーは、それが取消不能オッファーである場合でも、拒絶が申込人に到達した時に、終了する。

第18条
1.オッファーに対する同意を示す、被申込人の声明又はその他の行為は、受諾となる。沈黙又は無行為は、それ自体では受諾とはならない。
2.オッファーの受諾は、同意の表示が申込人に到達した時に有効となる。受諾は、同意の表示が申込人が定めた期限内に又はそのような期限が定められていない場合には、申込人により用いられた通信手段の速度を含め取引の情況を正当に考慮した合理的期間内に申込人に到着しなければ、有効ではない。口頭のオッファーは、情況に鑑みて別段に解釈されない限り、直ちに受諾されなければならない。
3.但し、オッファーに示される所により、或いは当事者が当事者間に確立した慣行又は一般的慣習の結果として、被申込人が、申込人に通知せずに、物品発送又は価格支払いに関する行為など一定の行為を行うことにより同意を示すことができる場合、受諾は、当該行為が前項に規定された期間内になされることを条件として、当該行為がなされた時点において有効となる。

第19条
1.受諾と称されているが付加、限定又はその他の修正を含むオッファーに対する回答は、オッファーの拒絶であり、新たなオッファーを構成する。
2.但し、受諾と称されるが、オッファーの条件を実質的に変更しない付加的又は相違する条件を含む申込みに対する回答は、申込人が、不当な遅滞なく、口頭にて不一致に異議を申立てるか又はその旨の通知を送付しない限り、受諾を構成する。申込人がかかる異議を申立てないならば、契約の条件は、受諾に含まれた修正によって変更されたものとしてのオッファーの条件となる。
3.他にもあるがとりわけ、価格、支払い、物品の品質及び数量、引渡しの場所及び時、一方の当事者の相手方に対する責任の範囲、或いは紛争の解決に関する付加的な又は異なる内容を含む回答は、オッファーの内容を実質的に変更するものとみなされる。

第20条
1.申込人により電子メール又は書信中に定められた受諾のための期間は、電子メールが発信のため差出される時点から、或いは書信に表示された日付から又は、かかる日付が表示されていなければ、封筒に表示された日付から、起算される。電話、ファックス又はその他の即時通信手段により申込人が呈示した受諾のための期間は、オッファーが被申込人に到達した時点から起算される。
2.受諾のための期間中に発生する公休日又は非営業日は、期間の計算に含まれる。但し、期間の最終日が申込人の営業場所における公休日又は非営業日に当たるために受諾の通知がその日に申込人の住所に配達されることができない場合、期間はその次にくる最初の営業日まで延長される。

第21条
1.遅れた受諾は、それにもかかわらず、若し遅滞なく申込人が、口頭にて有効であると被申込人に告げ又はその旨の通知を発送すれば、受諾として有効である。
2.遅れた受諾となった書信又はその他の書面が、その送達が正常であったならばそれが適正な期間内に申込人に到達したであろうような情況において送付されたことを示す場合、遅滞なく申込人が、申込人はそのオッファーが期限経過したものとみなす旨、口頭にて被申込人に告げ又はその旨の通知を発送しない限り、受諾として有効である。

第22条
受諾は、それが効力を生じるより前に又はそれと同時にその撤回の意思表示が申込人に到着すれば、撤回することができる。

第23条
契約は、受諾が本条約の規定に従って効力を生じた時に成立する。

第24条
本条約のこの部の適用上、オッファー、受諾の宣言又はその他すべての意思表示は、それが口頭で受信人に対し与えられ、或いは何らかの他の手段により、受信人に直接、又は受信人の営業場所若しくは郵送先住所に、又は受信人が営業場所若しくは郵送先住所を有しない場合は受信人の通例の居所に送達される時に、受信人に「到着する」。

★★★★★ 第III部 物品売買

★★★ 第Ⅰ章 一般規定

第25条
当事者の一方により行われた契約違反は、若しそれが、相手方当事者が契約に基づいて期待する権利が与えられるものを相手方当事者から実質的に奪うような不利益を相手方当事者にもたらす結果になるならば、違反当事者がかかる結果を予見せず、且つ同じ情況にある同じ種類の通常人もそれを予見しなかったであろう場合でない限り、基本的なものである。

第26条
契約無効の宣言は、相手方当事者への通知によりなされた場合にのみ、有効である。

第27条
本条約のこの部に別途明示的に規定されない限り、当事者が何らかの通知、要求又はその他の通信を、この部に従って且つその情況において適切と考えられる手段により与えるか又は行うならば、その当事者はたとえ通信の到達が遅れるか又は誤って送達されるか、或いは通信が到達しなかった場合でも、当該通信が適正に到達したことを信頼する権利を認められる。

第28条
本条約の規定に従って、一方の当事者が相手方当事者による義務の履行を要求する権利が与えられる場合には、裁判所は、本条約の対象とならない類似の売買契約に関して自国の法律に基づいてそうするであろう場合を除いて、特定の履行に関して判決を下す義務を負わない。

第29条
1.契約は、当事者の合意のみによって、修正し又は終了することができる。
2.修正ないし終了が書面でなされるべきことを要求する規定を含む書面契約は、その他の形の合意によっては修正又は終了し得ない。但し、一方の当事者は、自らの行為により、相手方当事者がその行為を信頼した限りにおいて、かかる規定を主張することはできない。

★★★ 第II章 売手の義務

第30条
売り手は、契約及び本条約により要求されるところに従い、物品を引渡し、物品に関する一切の書類を交付し、且つ、物品についての財産権を移転しなければならない。

★ 第I節.物品の引渡し及び書類の交付

第31条
売り手が物品を他の特定の場所において引渡す義務がない場合、売り手の引渡しの義務は、下記の通りである。
a)売買契約が物品の運送を含む場合-買い手への送達のための最初の運送人に物品を引渡すこと。
b)前項に該当しない場合で、契約が、特定の物品、或いは特定の在庫から取り出され又は製造され若しくは生産される不特定の物品に関係し、且つ契約締結の時点において、物品が特定の場所にあり又は特定の場所で製造され若しくは生産されることを、両当事者が知っていた場合-当該場所において物品を買い手の処分に任せること。
c)その他の場合-売り手が契約締結の時点においてその営業所を有していた場所において、物品を買い手の処分に任せること。

第32条
1.売り手が契約又は本条約に従って物品を運送人に引渡し、且つ物品が物品上の表示により船積書類により又はその他の方法で契約目的物たることが明確に識別されていない場合、売り手は、物品を特定する積送品通知を買い手に与えなければならない。
2.売り手が物品の運送を手配する義務がある場合、売り手は、当該情況において適切な輸送手段により且つそのような輸送の通常の条件に従って定められた場所に物品を運送するのに必要な契約を締結しなければならない。
3.売り手が、物品の運送に関して付保する義務がない場合、売り手は、買い手の要求により、そのような保険の付保を買い手に可能にするために必要なすべての入手し得る情報を、買い手に提供しなければならない。

第33条
売り手は、下記のとおり物品を引渡さなければならない。
a)引渡日が契約により定められ又は契約から確定し得る場合、その日に、
b)引渡期限が契約により定められ又は契約から確定し得る場合、諸搬の事情から買い手が引渡日を指定することができると認められない限り、その期間内の任意の時に、或いは
c)その他の場合、契約締結後の合理的期間内に。

第34条
売り手が物品に関する書類を交付する義務がある場合、売り手は、契約により要求された時期と場所及び書式にて書類を交付しなければならない。売り手がその時期より前に書類を交付した場合、売り手は、買い手に不当な不便又は不当な経費をかけることにならない限りにおいて、上記要求期限に至るまで、交付した書類の契約不適合性を矯正することができる。但し、買い手は、本条約に規定される所に従い損害を請求する権利を留保する。

★ 第II節.物品の契約適合性及び第三者の請求

第35条
1.売り手は、契約により要求された数量、品質及び種類であり、且つ契約により要求された方法で容器に収められ又は梱包された物品を引渡さなければならない。
2.当事者が別途合意した場合を除いては、下記の要件を満たさない限り、物品は、契約に適合しない。
a)同種類の物品の通常の使用目的に対する適合性を有していること。
b)契約締結の時点で売り手に明示的又は黙示的に知らされた特定の目的に対する適合性を有していること。但し当該時点の諸事情から、買い手が売り手の技術及び判断を当てにしなかった又は買い手がそれを当てにすることは非合理的であったと認められる場合は除く。
c)売り手が見本又はモデルとして買い手に差出した物品の品質を備えていること。
d)当該物品に対する通常の方法で、或いはかかる方法がない場合は、物品を保存し保護するために十分な方法で、容器に収められ又は梱包されている。
3.契約締結の時点において、買い手が物品の契約不適合性を知っていた又はそれを知らないことはあり得なかったと認められる場合には、売り手は前項のa号からd号までについて物品の契約不適合性の責任を負わない。

第36条
1.物品の契約不適合性が危険負担の買い手への移転後に始めて明らかになる場合であろうとも、売り手は当該危険負担移転時に存在する物品の一切の契約不適合性について契約及び本条約に従って責任を負う。
2.売主はまた、前項に示された時点の後に発生し、且つ或る期間にわたり物品はその通常の目的若しくは或る特定の目的への適合性を維持する又は規定された品質若しくは特性を保持するという趣旨の保証の違反を含め、売り手の義務の違反に起因する物品の一切の契約不適合性に対して責任を負う。

第37条
売り手が、引渡日の前に物品を引渡した場合、売り手は、その日までは、引渡された物品の欠けている部分を引渡し又は数量の不足分を補い、或いは引渡された不適合物品に替え適合物品を引渡し、その他引渡された物品の契約不適合性を矯正することができる。但し、この権利の行使が買い手に不当な不便又は不当な経費を負担させないことを条件とする。しかしながら買い手は、本条約の規定するところに従って損害を請求する権利を留保する。

第38条
1.買い手は、その情況において実際に可能であるできるだけ短い期間内に、物品を検査し又は物品を検査させなければならない。
2.契約が物品の運送を含む場合、検査は、物品がその目的地に到着した後まで延期することができる。
3.物品が買い手による検査の合理的な機会なしに買主により輸送中に再仕向けされ又は再発送され、且つ契約締結の時点で売主がかかる再仕向け又は再発送の可能性を知っていた又は知るべきであった場合、検査は、物品が新しい仕向地に到着した後まで延期することができる。

第39条
1.買い手が物品の契約不適合性を発見した時又はそれを発見すべきであった時の後の合理的期間内に、買い手がその不適合性を明示した通知を売り手に与えない場合、買い手は物品の契約不適合性を主張する権利を失う。
2.いかなる場合にも、買い手が、物品が現実に買い手に引渡された日から遅くとも2年の期間内に、物品の契約不適合性の通知を売り手に与えない場合、この期限が契約上の保証期間と相反する場合を除いて、買い手は物品の契約不適合性を主張する権利を失う。

第40条
物品の契約不適合性が、売り手が知っており又は知らなかったことはあり得ず、且つ売り手が買い手に開示しなかった事実に関係する場合、売り手は第38条及び第39条の規定を援用する権利を与えられない。

第41条
売り手は、物品を第三者のいかなる権利又は請求の対象ともなっていない状態で引渡さなければならない。但し、買い手が何らかの権利又は請求の対象となることに同意して物品を引き取った場合は別とする。しかしながら、かかる権利又は請求が、工業所有権又はその他の知的所有権に基づく場合、売り手の義務は、第42条が適用される。

第42条
1.売り手は、契約締結の時点において知っていた又は当然に知ることのできた工業所有権又はその他の知的所有権に基づく物品上の第三者の権利又は請求のない物品を引渡さなければならない。但し、その権利又は請求は、下記の工業所有権又はその他の知的所有権に基づくものである。
a)物品がある国において転売され又はその他の方法で使用されることが、契約締結の時点において当事者により意図されていた場合、物品が転売され又はその他の方法で使用される同国の法律に基づくもの、或いは
b)その他の場合、買い手がその営業所を有する国の法律に基づくもの。
2.前項に基づく売り手の義務は、下記の場合には及ばない。
a)契約締結の時点において、買い手が、当該権利又は請求を知っていた又は当然知ることができた場合、或いは
b)権利又は請求が、買い手により提供された技術図面、設計、方式又はその他の仕様を売り手が遵守した結果として生ずる場合。

第43条
1.買い手は、若し買い手が第三者の権利又は主張請求を知った又は当然に知ることができた時の後の合理的期間内に、買い手がそのような権利又は請求の性質を明示した通知を売り手に与えない場合、第41条又は第42条の規定を援用する権利を失う。
2.売り手は、売り手が、第三者の権利又は主張請求及びその性質を知っていた場合、前項の規定を援用する権利を与えられない。

第44条
第39条1項及び第43条1項の規定にかかわらず、買い手は、自己が必要とされる通知を与えなかったことにつき合理的理由を有するならば、第50条に従って価格を減額し、或いは利益の逸失を除き損害の賠償を請求することができる。

★ 第III節.売り手による契約違反に対する救済

第45条
1.売り手が、契約又は本条約に基づく何らかの義務につき違反を犯した場合、買い手は次の権利を与えられる。
a)第46条から第52条までに規定された権利を行使する。
b)第74条から第77条までに規定されるところに従って損害の賠償を請求する。
2.買い手は、他の救済の権利を行使することにより、買い手が有することのある損害賠償請求の権利を奪われない。
3.買い手が契約違反に対する救済に訴える時、裁判所又は仲裁法廷により猶予期間は付与されてはならない。

第46条
1.買い手は、売り手による売り手の義務の履行を要求することができる。但し、買い手が、この要求と両立しない救済に訴えた場合は、この限りではない。
2.物品が契約に適合しない場合、買い手は、適合性の欠如が契約の基本的違反を構成し且つ代替物品要求が第39条に基づき与えられた通知と共に又はそれ以後の合理的期間内になされた場合にのみ、代替物品の引渡しを要求することができる。
3.物品が契約に適合しない場合、買い手は、それがすべての情況からみて不合理でない限り、不適合性を解消するために物品を修理するよう売り手に要求することができる。修理の要求は、第39条に基づき与えられた通知と共に又はそれ以後の合理的期間内になされなければならない。

第47条
1.買い手は、売り手による義務の履行について、合理的な長さの追加期間を定めることができる。
2.そのように定められた期間内に義務を履行する意思がないとの通知を、買い手が売り手から受領しない限り、買い手は、その期間中は、契約違反に対するいかなる救済にも訴えてはならない。但し、上記により、買い手は、買い手が有することのある履行遅延に対する損害賠償請求権を否定されるものではない。

第48条
1.第49条を条件として、売り手は、たとえ引渡日の後でも、売り手が不当な遅滞なしに且つ買い手に不当な不便又は買い手により前払いされた費用の売り手による償還の不安を与えずにそうすることができる限りにおいて、自己の費用により売り手の義務のいかなる不履行をも矯正することができる。しかしながら買い手は、本条約の規定に従って損害賠償を請求するいかなる権利も留保する。
2.買い手が履行を受諾するかどうか知らせてくれるよう買い手に要求し、買い手が合理的期間内にその要求に応じない場合、売り手は、当該要求中に示された期間内に自己の義務を履行することができる。買い手は、その期間中は、売り手による義務履行と両立しないいかなる救済にも訴えてはならない。
3.売り手が特定の期間内に履行するとの売り手による通知は、買い手がその受諾についての決定を知らせてくれるようにとの前項に基づく要求を含むと想定される。
4.本条の2項又は3項に基づく売り手による通知又は要求は、買い手により受領されない限り、効力を持たない。

第49条
1.買い手は、下記の場合、契約が無効になったと宣言することができる。
a)契約又は本条約に基づく売り手の義務の不履行が、基本的な契約違反を構成する場合、或いは
b)引渡不履行の場合、売り手が、第47条1項に従って買い手により定められた追加期間内に物品を引渡しせず、或いは売り手はそのように定められた期間内に引渡す意思がないと宣言する場合。
2.但し、売り手が物品を引渡した場合には、買い手は、そうしない限り、契約が無効になったと宣言する権利を失う。
a)期限経過後の引渡しに関しては、引渡しが行われたことを買い手が知るに至った後の合理的期間内に、
b)期限経過後引渡し以外の違反に関しては、下記の合理的期間内に、
i)買い手が、違反を知った又は当然知るべきであった後、
ii)第47条1項に従って買い手により定められた追加期間の満了後、或いは売り手が、売り手はかかる追加期間内にその義務を履行する意思がないと宣言した後。
iii)第48条2項に従って売り手により示された追加期間の満了後、或いは買い手が買い手は履行を受諾する意思がないと宣言した後。

第50条
物品が契約に適合しない場合、価格がすでに支払われたか否かを問わず、買い手は、現実に引渡された物品が引渡しの時点で有していた価値が、適合した物品がその時点で有していたであろう価値に対して有する比率に従って、価格を減額することができる。但し、売り手が、第37条又は第48条に従って売り手の義務の不履行を矯正する場合、或いは買い手が、これらの条項に従った売り手による履行を受諾することを拒否する場合、買い手は、価格を減額することはできない。

第51条
1.売り手が物品の一部のみを引渡す場合、或いは引渡された物品の一部のみが契約に適合している場合、第46条から第50条までは、不足している部分又は契約不適合部分に関して適用される。
2.引渡しを完全に又は契約に従って行わないことが基本的な契約違反になる場合にのみ、買い手は、契約全体の無効を宣言することができる。

第52条
1.売り手が定められた引渡日の前に商品を引渡す場合、買い手は、その引渡しを受け又は引渡しを受けるのを拒否することができる。
2.売り手が契約に規定された数量を超える物品を引渡す場合、買い手は、超過数量の引渡しを受け又は引渡しを受けるのを拒否することができる。買い手が、超過分の全部又は一部の引渡しを受ける場合、買い手は、それに対し契約相場にて支払いをしなければならない。

★★★ 第III章 買い手の義務

第53条
買い手は、契約及び本条約の要求するところに従って、物品の価格を支払い、その引渡しを受けなければならない。

★ 第I節.価格支払い

第54条
買い手の価格支払義務は、支払いが行われるのを可能にするため契約又は何らかの法律及び規則に基づいて要求されることのある処置ないし手続を行うことを含む。

第55条
契約が有効に締結されたが、明示・黙示を問わず、価格の定め又は価格を確定するための規定がなされていない場合、当事者は、反対趣旨の意思表示がなされていない限り、当該取引に類似する情況の下に販売される当該物品に対し契約締結の時点において一般的に請求される価格に暗黙に言及したものとみなされる。


第56条
価格が物品の重量に従って定められる場合に疑問があれば、価格は、正味重量により決定されるものとする。

第57条
1.他の特定の場所において価格について支払いを行う義務がない場合、買い手は、下記の場所において、価格について売り手に支払いを行わなければならない。
a)売り手の営業所において、或いは
b)支払いが、物品又は書類の引渡しと引換えにて行われるべきである場合、引渡しが行われる場所において、
2.売り手は、契約締結後のその営業場所の変更により生ずる支払付随費用の増加分を負担しなければならない。

第58条
1.買い手が他の特定の時において価格について支払いを行う義務がない場合、買い手は、売り手が物品又は物品の処分権を支配する書類のいずれかの占有を、契約及び本条約に従って買い手に移転した時に、価格について支払いを行わなければならない。売り手は、かかる支払いを物品又は書類引渡しの条件とすることができる。
2.契約が物品の運送を含む場合、売り手は、物品又は物品の処分権を支配する書類は価格についての支払いと引換えでなければ売り手に引渡されないという条件で、物品を発送することができる。
3.買い手は、買い手が物品を検分する機会を持つに至るまでは、価格について支払いを行う義務はない。但し、当事者により合意された引渡し又は支払いの手続が、買い手がかかる機会を持つことと両立しない場合はこの限りではない。

第59条
買い手は、売り手側の要求その他の手続遵守を必要とすることなく、契約及び本条約で定められた又はそれらから確定できる日に、価格について支払いを行わなければならない。

★ 第II節.引取り

第60条
買い手の引渡しを受ける義務は、下記からなる。
a)売り手が引渡しを行うことを可能にするため買い手に合理的に期待され得る一切の行為を行うこと、及び
b)物品を引取ること。

★ 第III節.買い手による契約違反に対する救済

第61条
1.買い手が、契約又は本条約に基づく買い手の義務の何らかを履行しない場合、売り手は、以下の行為を行うことができる。
a)第62条から第65条までに規定された権利を行使すること。
b)第74条から第77条までの規定に従って損害賠償を請求すること。
2.売り手は、他の救済手段を行使することにより、売り手が有することのあるいかなる損害賠償請求権も奪われない。
3.売り手が契約違反に対する救済に訴える時、裁判所又は仲裁法廷により猶予期間は買い手に付与されてはならない。

第62条
売り手は、買い手に対して、価格について支払いを行い、引渡しを受け又は買い手のその他の義務の履行を要求することができる。但し、売り手がこれらの要求と両立しない救済に訴えた場合はこの限りではない。

第63条
1.売り手は、買い手による義務の履行に関し、合理的な長さの追加期間を定めることができる。
2.売り手が、上記の追加期間内に義務を履行する意思がないとの通知を買い手から受け取る場合以外、売り手は、その期間中、契約違反に対するいかなる救済にも訴えてはならない。但し、そのことは、売り手が履行遅滞に対して有することのあるべき損害賠償請求権を否定するものではない。

第64条
1.売り手は、下記の場合、契約の無効を宣言することができる。
a)契約又は本条約に基づく買い手の義務の不履行が、基本的な契約違反を構成する場合、又は
b)買い手が、第63条1項に従って売り手が定めた追加期間内に、価格を支払い又は物品の引渡しを受ける自己の義務を履行せず、或いは買い手がそのように定められた期間内にそれらを行う意思を有しないことを宣言する場合。
2.但し、買い手が価格を支払った場合には、売り手は、下記の時間的制限に従って契約の無効を宣言しない限り、そのような宣言の権利を失う-
a)買い手による期限後履行に関しては、履行がなされたことを売り手が知るに至った前に、或いは
b)買い手による期限後履行以外の違反に関しては、下記の後の合理的期間内に、
i)売り手が、違反を知った又は当然知るべきであった時、或いは
ii)第63条1項に従って売り手が定めた追加期間の満了時、或いは買い手が、かかる追加期間内にその義務を履行する意思がないことを宣言した後。

第65条
1.契約に基づいて、買い手が物品の形態、寸法又はその他の特徴を規定すべきであり、買い手が、合意された日又は売り手による要求の受領後合理的期間内に、かかる仕様を作成しない場合、売り手は、売り手が有することのある他のいかなる権利も損うことなく、売り手の知り得る買い手の要件に従って売り手自身で仕様を作成することができる。
2.売り手が仕様を売り手自身で作成する場合、売り手は、その詳細を買い手に知らせ且つ買い手が異なる仕様を作成することのできる合理的期間を定めなければならない。若しかかる連絡受領後、買い手が当該指定期間内に自己の仕様を作成しない場合、売り手により作成された仕様が拘束力のあるものとなる。

★★★ 第IV章 危険負担の移転

第66条
危険負担が買い手に移った後の物品の減失又は損傷は、減失又は損傷が売り手の作為又は不作為によるものでない限り、買い手を価格支払いの義務から免除しない。

第67条
1.売買契約が物品の運送を含み且つ売り手が特定の場所において物品を引渡す場合、危険負担は、物品が売買契約に従って買い手への送達のため最初の運送人に引渡された時に買い手に移る。売り手が、特定の場所において運送人に物品を引渡す義務を負っている場合には、物品がその場所において運送人に引渡されるまでは、危険負担は、買い手に移らない。売り手が物品の処分権を支配する書類を保持する権限を有している事実があっても、危険負担の移転に影響しない。
2.上記にもかかわらず、危険負担は、物品上の表示により、船積書類により、買い手に与えられた通知により、或いはその他の方法によって、物品が契約目的物であることが明瞭に認識し得るものとされるまでは買い手に移らない。

第68条
輸送途中で売却された物品に関する危険負担は、契約締結の時点から買い手に移る。しかしながら、情況からそのように判断すべき場合は、危険負担は、物品が運送契約を体現する書類を発行した運送人に引渡された時点から、買い手により引受けられる。但し、売買契約締結の時点において、売り手が、物品は減失した又は損傷したことを知っており又は当然知っているべきであり、それにも関わらずそのことを買い手に開示しなかった場合、減失又は損傷の危険は売り手が負担する。

第69条
1.第67条及び第68条に該当しない場合、危険負担は、買い手が物品を引取る時に、或いは買い手が当然そうすべき時期に引取らない場合には、物品が買い手の処分に任され買い手が引渡しを受けないことにより契約違反となる時点から、買い手に移る。
2.但し、買い手が売り手の営業所以外の場所において物品を引取る義務がある場合、危険負担は、引渡期限が到来し且つ物品がその場所で買い手の処分に任されている事実を買い手が知った時に、移転する。
3.契約がその時点では特定されていない物品に関係する場合、物品は、それが契約目的物であることが明瞭に示されるまでは、買い手の処分に任されてはいないとみなされる。

第70条
売り手が、基本的な契約違反を行った場合、違反に対して買い手が利用できる救済は第67条、第68条及び第69条を理由として損なわれない。

★★★ 第Ⅴ章 売り手と買い手の義務に対する共通規定

★ 第I節.期限前の契約違反及び分割引渡契約

第71条
1.一方の当事者は、契約締結後に相手方当事者が、下記の結果として、その義務の重要な部分を履行しないことが明白になった場合、自己の義務の履行を停止することができる。
a)相手方当事者の履行能力又は財政的信用度の重大な欠陥、或いは
b)契約履行の準備中又は契約履行中の相手方当事者の行為態度。
2.売り手が前項に述べられた事由が明白になる前に物品をすでに発送している場合、売り手はたとえ物品を入手する権利を表象する書類を買い手が保有している場合であっても、買い手への物品の引渡しを差止めることができる。本項は、物品に対する買い手と売り手の間の権利にのみ関係する。
3.物品発送の前後を問わず、履行を停止する一方の当事者は、履行停止の通知を直ちに相手方当事者に与えなければならず、また相手方当事者がその履行についての十分な保証を提供する場合には、履行を継続しなければならない。

第72条
1.契約履行の日より前に、当事者の一方が基本的な契約違反を犯すことが明白になる場合、相手方当事者は、契約の無効を宣言することができる。
2.時間的余裕がある場合、契約の無効を宣言しようとする当事者は、相手方当事者にその履行についての十分な保証を提供する機会を許すために、相手方当事者に合理的な通知を与えなければならない。
3.前項の要件は、相手方当事者が、その義務を履行する意思がないことを宣言した場合には、適用されない。

第73条
1.物品の分割引渡契約の場合、いずれかの一回分に関する一方当事者の義務の不履行が、その分に関する基本的な契約違反を構成する場合、相手方当事者は、当該分割部分に関して契約が無効になったと宣言することができる。
2.分割引渡契約のいずれかの一回分に関する一方当事者の義務の不履行が、将来の分割引渡分に関して基本的な契約違反が発生すると推論する十分な根拠を相手方当事者に与える場合、一方の当事者は、合理的期間内にそうすることを条件として、将来にわたり契約が無効になったと宣言することができる。
3.いずれかの引渡分に関して契約が無効になったと宣言する買い手は同時に、分割引渡間の相互依存性の故に、すでに行われた引渡し又は将来の引渡しが契約締結の時点において両当時者が意図した契約目的のために役立たないと認められる場合、それらの分についても契約が無効になったと宣言することができる。

★ 第II節.損害賠償

第74条
一方の当事者の契約違反による損害賠償金額は、逸失利益を含め、当該違反の結果として相手方当事者がこうむる損失金額に等しいものとする。かかる損害賠償金額は、違反した当事者が、当該当事者が当時知っていた又は当然知るべきであった事実及び事柄に照らして、契約締結の時点において、契約違反から生じ得る結果として予見した又は当然予見すべきであった金額を超えないものとする。

第75条
契約が無効にされ、且つ無効宣言後合理的期間内に合理的な方法で、買い手が代替物品を購入し、或いは売り手が当該物品を再売却した場合、損害賠償を請求する当事者は、契約価格と代わりの取引における価格との差額を、第74条に基づいて請求し得るその他の損害賠償と共に回復することができる。

第76条
1.契約が無効にされ且つ目的物品に時価がある場合、損害賠償を請求する当事者は、当該当事者が第75条に基づく購入又は転売を行っていない場合には、契約により定められた価格と無効宣言の時点における時価との差額を、第74条に基づいて回復し得るその他の損害賠償と共に回復することができる。但し、損害を請求する当事者が、物品引取後に契約を無効にした場合、かかる引取りの時点における時価が、無効宣言の時点における時価の代わりに適用されるものとする。
2.前項の適用上、時価とは、物品の引渡しが行われるべきであった場所において広く行われている価格、或いは若しその場所に時価がない場合、合理的な代替地として考え得るその他の場所における両地間の物品輸送費用の差額を正当に酌量した価格である。

第77条
契約違反を援用する当事者は、逸失利益を含め、違反の結果生ずる損失を軽減するため当該事情の下に合理的と考えられる処置をとらなければならない。当該当事者がかかる処置をとらない場合、違反当事者は、損失が軽減され得たであろう金額分、賠償金額を減額するよう要求することができる。

★ 第III節.金利

第78条
一方の当事者が、価格又は延滞しているその他の金額を支払わない場合、相手方当事者は、第74条に基づく損害賠償請求権を損なわれることなく、それらについての金利を受取る権利が認められる。

★ 第IV節.免除

第79条
1.当事者は、自己の何らかの義務の不履行が自己の支配を超える障害によるものであったこと、並びに契約締結の時点においてその障害を考慮に入れること、或いはその障害又はその結果を回避し又は克服することが合理的に期待され得なかったことを立証する場合、当該義務の不履行について責任を負わない。
2.当事者の不履行が、当該当事者が契約の全部又は一部を履行するために雇用した第三者の義務不履行に起因する場合、下記の場合に限り、当該当事者は、責任を免除される。
a)当該当事者が前項に基づいて責任を免除され、且つ
b)当該当事者の上記の被雇用者が、前項の規定が同人に適用されたならば、免責されたであろう場合。
3.本条に規定される免責は、障害が存在する期間中適用される。
4.履行できない当事者は、障害及びそれが当該当事者の履行能力に及ぼす影響について、相手方当事者に通知を与えなければならない。履行できない当事者が障害を知った又は当然知るべきであった時以後の合理的期間内に、相手方当事者により通知が受領されない場合、当該当事者は、かかる不受領の結果として生ずる損害に対し責任を負う。
5.本条の規定は、当事者が本条約に基づく損害賠償請求権以外の権利を行使することを妨げるものではない。

第80条
当事者は、相手方当事者の不履行が作為又は不作為により引起された限りにおいて、相手方当事者の不履行を援用してはならない。

★ 第V節.無効宣言の効果

第81条
1.契約の無効宣言は、支払われるべき損害賠償の義務を別として、契約に基づくそれぞれの義務から両当事者を解除する。無効宣言は、紛争解決に関する契約の規定、或いは契約の無効の結果として生じる当事者の権利及び義務を対象とする他の契約規定に影響を及ぼさない。
2.契約上の自己の義務の全部又は一部を履行した当事者は、契約に基づき自己が供給ないし支払ったあらゆるものの返還を相手方当事者に請求することができる。両当事者がそのような返還義務を負う場合、両当事者の義務は同時履行関係に置かれる。

第82条
1.買い手は、実質的に見て、自己が受領した状態で物品を返還することが不可能である場合、契約が無効になったと宣言し又は売り手に代替物品の引渡しを要求する権利を失う。
2.前項は、以下の場合には、適用されない。
a)物品を返還できないこと、或いは物品を実質的に見て買い手がそれを受領した状態で返還できないことが、買い手の作為又は不作為に起因しない場合、
b)物品の全部又は一部が、第38条に規定された検分の結果として減失し又は品質低下した場合、或いは
c)物品の全部又は一部が、買い手が物品の契約不適合性を発見した又は当然発見すべきであった時より前に、営業の通常の過程で売却され、或いは通常の使用の過程で買い手により消費され又は変形された場合。

第83条
買い手は、第82条により契約が無効になったと宣言し又は売り手に代替物品の引渡しを要求する権利を失った場合でも、契約及び本条約に基づく他のすべての救済手段を留保する。

第84条
1.売り手が、価格を返金する義務を負う場合、売り手はまた、価格について支払いが行われた日からそれに対する利息も支払わなければならない。
2.買い手は、下記の場合、買い手が物品の全部又は一部から得たすべての利益を、売り手に清算しなければならない。
a)買い手が物品の全部又は一部の返還を行わなければならない場合、或いは
b)買い手が、物品の全部又は一部を返還すること又は物品の全部又は一部を実質的に見て買い手がそれを受領した状態で返還することが不可能であるが、それにもかかわらず買い手が、契約が無効になったと宣言し又は売り手に代替物品の引渡しを要求する場合。

★ 第VI節.物品の保存

第85条
買い手が、物品の引渡しを受けるのを遅延させている場合、或いは価格についての支払いと物品引渡しが同時に行われるべきである場合に、買い手が価格について支払いを行わず且つ売り手が物品を占有しているか又はその他の形で物品について支配できる場合、売り手は、物品を保存するため当該情況において合理的と考えられる処置をとらなければならない。売り手は、売り手が買い手により合理的な費用を償還されるまで、物品の占有ないし支配を継続することができる。

第86条
1.買い手が、物品を受領したが、当該物品を受け入れることを拒絶する契約又は本条約上の権利を行使しようとする場合、買い手は、その情況において合理的と考えられる物品保存処置をとらなければならない。買い手は、それらに要した合理的な費用を売り手から償還されるまでは、物品を留保する権利を与えられる。
2.買い手に対し発送された物品が、その目的地において買い手の支配下に置かれたが、買い手が物品の受け入れ拒否権を行使する場合、買い手は、価格についての支払義務を負わないこと及び不当な不便又は費用支出を被ることがないことを条件として売り手のために物品の占有を行わなければならない。この規定は、売り手又は売り手に代って物品の管理を引受ける権限を有する者がその目的地に居る場合には、適用されない。買い手が、本項に基づいて物品の占有を行う場合、買い手の権利と義務は、前項に準拠する。

第87条
物品を保存するための処置をとる義務のある当事者は、発生する費用が不当でないことを条件として、相手方当事者の費用により物品を第三者の倉庫に寄託することができる。

第88条
1.第85条又は第86条に従って物品を保存する義務のある当事者は、相手方当事者に物品の占有取得、物品の取戻し、或いは価格又は保存費用の支払いについての不当な遅延がある場合、売却意思の合理的な通知が相手方当事者に与えられることを条件として、何らかの適切な方法により物品を売却することができる。
2.物品が急速な品質低下を被りやすい、或いは物品の保存が不当な費用を伴うであろう場合、第85条又は第86条に従って物品を保存する義務のある当事者は、物品を売却するための適切な処置をとらなければならない。可能な範囲で、当該当事者は、売却意思について相手方当事者に通知を与えなければならない。
3.物品を売却する当事者は、売却代金の中から物品の保存及び売却の合理的費用に相当する金額を留保する権利を有する。当該当事者は、残金を相手方当事者に精算しなければならない。

★★★★★ 第IV部 最終規定

第89条
国際連合事務総長は、ここに、本条約の寄託者として指定される。

第90条
本条約は、すでに締結されているか又は今後締結されることのあるもので本条約の対象となる事項に関する規定を含むいかなる国家間協定にも、当事者が当該の当事国にそれぞれの営業場所を有することを条件として、優先しない。

第91条
1.本条約は、国際連合の国際物品売買契約会議の最終会合において各国に調印の機会を与えられ、且つ1981年9月30日までニューヨークの国際連合本部においてすべての国に対して調印のために開放しておく。
2.本条約は、調印国による批准、受諾又は承認を条件として効力を生じる。
3.本条約は、調印のため開放される日から、署名国でないすべての国に対し加入のために開放される。
4.批准書、受諾書、承認書及び加入書は、国際連合事務総長に寄託されるものとする。

第92条
1.締約国は、署名、批准、受諾、承認若しくは加入の際に、本条約の第II部に拘束されない旨、或いは本条約の第III部に拘束されない旨、宣言することができる。
2.前項に従い本条約の第II部又は第III部に関する宣言を行う締約国は、宣言が適用される部の対象となる事柄に関して、本条約第1条1項の言う締約国とはみなされないものとする。

第93条
1.締約国が、その憲法に従って、本条約で取扱われる事柄に関して異なる法律制度が適用される二以上の領域単位を有する場合、当該締約国は、署名、批准、受諾、承認若しくは加入の際に、本条約はその領域単位のすべて又はそれらの一以上にのみ及ぶ旨を宣言することができ、且つその宣言を何時でも別の宣言を提出することにより修正することができる。
2.これらの宣言は、寄託者に通告され、本条約が及ぶ領域単位を明示的に述べるものとする。
3.本条に基づく宣言によって、本条約が締約国の領域単位の一以上に及ぶがそのすべてには及ばず、且つ当事者の営業所がその国に置かれている場合、その営業所は、本条約の適用上、本条約が及ぶ領域単位にあるのでない限り、締約国にはないものとみなされる。
4.締約国が本条1項に基づく宣言を行わない場合、本条約は、その国のすべての領域単位に及ぶものとする。

第94条
1.本条約により支配される事柄に関して同一の若しくは密接に関連した法規を有する二以上の締約国は、本条約は、契約当事者がそれぞれの営業所をそれらの国々に有している場合、売買契約の内容若しくはそれらの成立には適用されないものとする旨、何時でも宣言することができる。かかる宣言は、共同して又は相互の単独の宣言により行うことができる。
2.本条約の対象となる事柄に関して一以上の非締約国と同一の若しくは密接に関連した法規を有する締約国は、本条約は、契約当事者がそれぞれの営業所をそれらの国々に有している場合、売買契約若しくはそれらの成立には適用されないものとする旨、何時でも宣言することができる。
3.前項に基づく宣言の対象である国が、その後に締約国になる場合、なされた宣言は、当該新締約国が当該宣言に加わること又は相互の単独の宣言を行うことを条件として、本条約が新締約国について発効する日から上記1項に基づいて行われた宣言としての効力を有するものとする。

第95条
いかなる国も、その批准書、受諾書、承認書若しくは加入書を寄託する際に、本条約第1条の1項b号に拘束されない旨を宣言することができる。

第96条
その法制上売買契約は書面にて締結され又は書面により立証されることを要する締約国は、合意、又は単独意思の申出、受諾その他の意思表示による売買契約の成立、その修正又は終了が書面以外の形でなされることを許容する本条約の第11条、第29条又は第II部の規定は、契約当事者がその営業所を当該締約国に有する場合は適用されない旨、第12条に従って何時でも宣言することができる。

第97条
1.調印の際に本条約に基づいて行われる宣言は、批准、受諾若しくは承認に基づく確認を条件として効力を生じる。
2.宣言及び宣言の確認は、書面でなされ、且つ公式に寄託者に通告されるものとする。
3.宣言は、当該国に関する本条約の発効と同時に効力を生ずる。但し、寄託者がそのような本協定の発効後に公式通告を受領する宣言は、寄託者による受領の日の後6カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずる。第94条に基づく相互の単独の宣言は、最後の宣言の寄託者による受領の日の後6カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずる。
4.本条約に基づく宣言を行う国はいずれも、寄託者に宛てた書面による公式通告により、何時でもそれを撤回することができる。かかる撤回は、通告の寄託者による受領の日の後6カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずる。
5.第94条に基づいて行われた宣言の撤回は、撤回が効力を生ずる日から、同条に基づいて他の国により行われた相互的単独宣言の効力を失わせるものとする。

第98条
本条約中にて明示的に授権されたものを除いては、いかなる留保も認められない。

第99条
1.本条約は、本条6項の規定に従うことを条件として第92条に基づいて行われた宣言を内容とする文書を含め、10番目の批准、受諾、承認又は加入の文書の寄託の日の後12カ月の期間の満了時に続く月の初日に発効する。
2.或る国が、批准、受諾、承認又は加入の10番目の文書の寄託後に本条約を批准、受諾、承認又は加入する時、本条約は、除外された部を除き、本条6項の規定に従うことを条件として、当該国についてその批准書、受諾書、承認書若しくは加入書の寄託の日の後12カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずる。
3.本条約を批准、受諾、承認又は加入し、且つ1964年7月1日にハーグにおいて結ばれた国際物品売買契約の成立についての統一法に関する条約(1964年ハーグ成立条約)、並びに1964年7月1日にハーグにおいて結ばれた国際的物品売買についての統一法に関する条約(1964年ハーグ売買条約)のいずれか又は双方の当事者である国は、オランダ政府にその趣旨の通告を行うことにより場合に応じ、1964年ハーグ売買条約及び1964年ハーグ成立条約のいずれか又は双方を、批准等と同時に廃棄するものとする。


4.本条約を批准、受諾、承認又は加入し、且つ本条約の第II部により拘束されない旨第92条に従って宣言する又は宣言した1964年ハーグ売買条約の当事国は、批准、受諾、承認又は加入に際し、その旨オランダ政府に通告することにより1964年ハーグ売買条約を廃棄するものとする。
5.本条約を批准、受諾、承認又は加入し、且つ本条約の第III部により拘束されない旨を第92条に従って宣言する又は宣言した1964年ハーグ成立条約の当事国は、批准、受諾、承認又は加入の際に、その旨オランダ政府に通告することにより1964年ハーグ成立条約を廃棄するものとする。
6.本条の適用上、1964年ハーグ成立条約又は1964年ハーグ売買条約の当事国による本条約批准、受諾、承認及び加入は、それらの両条約に関して当該当事国において必要となるべき廃棄がそれ自体有効になるまでは効力を生じないものとする。本条約の寄託者は、この点に関する必要な調整を行うために、1964年条約の寄託者としてのオランダ政府と協議するものとする。

第100条
1.本条約は、契約締結の申込みが、本条約が第1条の1項a号に言及された締約国又は1項b号に言及された締約国について発効する日以後に行われる時にのみ、契約の成立に適用される。
2.本条約は、本条約が第1条の1項a号に言及された締約国又は1項b号に言及された締約国について発効する日以後に締結される契約のみに適用される。

第101条
1.締約国は、寄託者に宛てた書面による公式通告により、本条約又は本条約の第II部若しくは第III部を廃棄することができる。
2.廃棄は、通告が寄託者により受領された後12カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずる。廃棄が効力を生ずるためのより長い期間が通告中に示されている場合、廃棄は、通告が寄託者により受領された後かかるより長い期間の満了する日に効力を生ずる。

1980年4月11日にウィーンで1個の原協定が締結され、等しく正文であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による協定書に作成された。

以上の証拠として、下名の全権委員は、それぞれの政府により正当に委任を受け、本条約に署名した。

付属書II [出訴期間改正議定書]

本議定書の当事国は、
国際貿易が国家間の友好関係推進の重要な要素であることを考慮し、
国際物品売買の出訴期間を支配する統一規則の採択が世界貿易を促進するであろうことを信じ、
1974年6月14日にニューヨークにおいて締結された国際物品売買の出訴期間に関する条約(1974年出訴期限条約)を1980年4月11日にウィーンにおいて締結された国際物品売買契約に関する国際連合条約(1980年売買条約)に適合するよう改正することは、1974年出訴期限法に含まれた出訴期間を支配する統一規則の採択を推進するであろうことを考慮して、
1974年出訴期限条約を、以下のとおり改正することに合意した。

第I条
1.第3条1項は、次の規定に読みかえられる。
「1.本条約は、下記の場合にのみ適用されるものとする。
a)契約締結の時点において、国際物品売買契約の当事者の営業所が、締約国にある場合、或いは
b)国際私法の規則が、締約国の法律を売買契約に適用可能なものとする場合。
2.第3条2項は、削除される。
3.第3条3項は、2項に採番し直される。

第II条
1.第4条のa号は削除され、次の規定に読みかえられる。
「a)売り手が、契約締結以前のいかなる時にも、物品がかかる用途のため購入されることを知らず且つ知ることもできなかったものでない限り、個人用、家族用又は家庭用に購入された物品についての」
2.第4条のe号は削除され、次の規定に読みかえられる。
「e)船舶、船、ホーバークラフト又は航空機についての」

第III条
第31条に次のとおり新しい4項が追加される。
「4.本条約に基づく宣言によって、本条約が締約国の領域単位の一以上に及ぶがそのすべてには及ばず、且つ当事者の営業所がその国に置かれている場合、この営業所は、本条約の適用上、それが本条約が及ぶ領域単位にあるのでない限り、締約国にはないとみなされるものとする。」

第IV条
第34条の規定は削除され、次の規定に読みかえられる。
「1.本条約の対象となる事柄に関して同一の若しくは密接に関連した法規を有する二以上の締約国は何時でも、契約当事者がそれぞれの営業所をそれらの国々に有している場合、本条約は、国際物品売買契約に適用されないものとする旨を宣言することができる。かかる宣言は、共同して又は相互的な単独の宣言により行うことができる。
2.本条約の対象となる事柄に関して一以上の非締約国と同一の若しくは密接に関連した法規を有する締約国は、何時でも契約当事者がそれぞれの営業所をそれらの国々に有している場合、本条約は国際物品売買契約に適用されないものとする旨、宣言することができる。
3.若し本条2項に基づく宣言の対象である非締約国がその後に締約国になる場合、同項に基づき行われた宣言は、新締約国が当該宣言に参加するか又は同趣旨の単独の宣言を行うことを条件として、本条約が新締約国に対して発効する日から、本条1項に基づいて行われた宣言としての効力を有するものとする。」

第V条
第37条の規定は削除され、次の規定に読みかえられる。
「本条約は、すでに締結されているか又は今後締結されることのあるもので、本条約の対象となっている事柄に関する規定を含むいかなる国際契約にも優先しないものとするが、売り手と買い手が当該契約の当事国にそれぞれの営業所を有することをその条件とする。」

第VI条
第40条1項の末尾に、次の規定が追加される。
「第34条に基づく相互の単独の宣言は、最後の宣言の国際連合事務総長による受領の日の後6カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずるものとする。」

最終規定

第VII条
国際連合事務総長は、ここに、本議定書の寄託者として指定される。

第VIII条
1.本議定書は、すべての国による加入のために開放されるものとする。
2.1974年出訴期限条約の締約当事者でない国による本議定書への加入は、第11条の規定に従うことを条件として、本議定書により改正されたものとしての本条約への加入の効力を有するものとする。
3.加入書は、国際連合事務総長に寄託されるものとする。

第IX条
1.本議定書は、その日において下記であることを条件として、2番目の加入書の寄託の後6カ月目の月の初日に発効するものとする。
a)1974年出訴期限条約それ自体が効力を有すること、並びに
b)1980年売買条約もまた効力を有すること。これらの条約の両者がその日に効力を有しているとの条件が満たされていない場合、本議定書は、双方の条約が効力を有する最初の日に発効するものとする。
2.2番目の加入書が寄託された後に本議定書に加入する各国については、本議定書は、その加入書の寄託の後6カ月目の月の初日に、その日までに本議定書それ自体が効力を生じていることを条件として、発効する。若しその日までに本議定書自体がまだ効力を有していない場合、本議定書は、本議定書自体が発効する日に当該国について発効するものとする。

第X条
若し或る国が、本議定書の発効後に1974年出訴期限条約を批准し又は加入する場合、その批准又は加入はまた、当該国が寄託者にその旨通告する場合、本議定書への加入の効果を有するものとする。

第XI条
本議定書の第VIII条、第IX条又は第X条に基づいて、本議定書により改正された1974年出訴期限条約の締約当事者となる国はすべて、寄託者に反対趣旨の通告をしない限り、未だ議定書の締約当事者となっていない本条約の締約当事者との関係では、未改正の本条約の締約当事者でもあるとみなされるものとする。

第XII条
いかなる国も、加入書の寄託又は第X条に基づくその通告の際に、本議定書の第I条により拘束されない旨を宣言することができる。本条に基づき行われる宣言は、書面により且つ寄託者に公式に通告されなければならない。

第XIII条
1.締約国は、寄託者にその旨通告することにより、本議定書の当事国から脱退することができる。
2.脱退は、寄託者による通告の受領の後12カ月の期間の満了時に続く月の初日に効力を生ずる。
3.本条の1項及び2項の適用により本議定書の効力が及ばなくなる締約国は、1974年出訴期限条約の第45条に従って未改正の同条約から脱退しない限り、同条約の締約国のままであるものとする。

第XIV条
1.寄託者は、すべての国に対し本議定書の認証謄本を送付するものとする。
2.本議定書が第IX条に従って発効する時、寄託者は、本議定書により改正された1974年出訴期限条約の正文を作成し、本議定書により改正された当該条約のすべての当事国に対し認証謄本を送付するものとする。

 1980年4月11日にウィーンで、1個の原議定書が定立され、ひとしく正文であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による文書に作成された。

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