6a002j 合弁事業契約書 [タイ(国連ESCAPリーガルアドバイザー・モデル契約書)]

<英文契約書式集>

合弁事業契約書 [タイ(国連ESCAPリーガルアドバイザー・モデル契約書)]

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[注]本モデル契約は、「タイ:国連ESCAPリーガルアドバイザー・モデル契約書」として、国際連合エスカップ(タイ国バンコク)の産業部において、海外投資・技術移転促進の業務を行っていた西独(現在はドイツ)弁護士が、タイにおける新設合弁事業を想定して作成した合弁事業契約書です。セミナー等で広く用いる事が想定されており、汎用性を高めるために各規定はごく基本的な内容を定めるにとどめている事にご留意下さい。
*********次行以下本文*********

本契約は、ドイツ連邦共和国、ジャーマン・インダストリィ・ゲムベハ(German Industry GmbH)(本契約中にて以下「GI」と称する)とタイ国 タイ・マニュファクチュアリング・カンパニー・リミテッド(Thai Manufacturing Co., Ltd.)(本契約中にて以下「TM」と称する)との間に締結された。

**第1章;新会社の組織**
第1条 設立
本契約当事者は、本契約にて以下に定義される本契約の発効日後速やかに、タイ国法に基づき株式会社(私的有限責任会社)(本契約中にて以下「新会社」と称する)として新会社を設立させるものとする。

第2条 事業目的
新会社の事業目的は、下記の各項から成るものとする。
(a)( )、
(b)( )、及び
(c)上記(a)及び(b)項で言及する事業活動に付随するか又は同事業活動に必要なその他の活動。

第3条 名称
新会社は、タイ語で( )、英語で( )と命名されるものとする。

第4条 所在地
新会社は、登録事務所をバンコクに、主たる営業所を( )に置くものとする。

第5条 定款
新会社の定款は、付属書Aとして本契約に添付される英語訳に対応するものである事が合意された。

第6条 ソリシター
CI及びTMは、タイ国の弁護士( )及び( )の各氏を通じて新会社設立の手配をするものとする。

第7条 資本
新会社の登録資本金( )は、各々額面金額( )バーツの( )株に分割されるものとする。
発行されるべき株式は、本契約当事者により下記の通り全額引受けられるものとする。
GI:( )株、金額( )
TM:( )株、金額( )

第8条 株式の種類
新会社により発行されるべきすべての株式は、記名株式で且つ普通株式とするものとする。

第9条 支払い
本契約当事者の各々は、新会社の株式発行に際し額面金額で引受ける各自の株式と等価の金額をバーツでしかも現金で支払うものとする。

**第2章;総会**
第10条 定時及び臨時総会
定時株主総会は、取締役会の決議により招集されるものとし、新会社の各会計期間の最終日から( )日以内にバンコクで開催されるものとする。
臨時株主総会は、必要とみなされる時はいつでも取締役会の決議により招集されるものとする。

第11条 株主総会の定足数
株主総会の定足数は、新会社のすべての発行済株式の25パーセント以上の株式を代表する株主から成るものとする。

第12条 決議
新会社の定款、本契約若しくは強行法規に別途規定されない限り、株主総会のすべての決議は、出席株主の過半数投票により採択されるものとし、出席株主の投票権は、各株主により所有される株式数に比例するものとする。

第13条 重要事項
強行法規に別途規定されない限り、本契約に基づいて以下に規定の重要事項の決議は、出席株主の3分の2を超える投票により採択されるものとする。
1)業務目的の変更、
2)登録資本の増加又は減少、
3)新株式の発行、
4)業務の一部又は全体の譲渡、
5)資産の実質的部分の売却、
6)他の会社への投資
7)配当に関する事項、
8)解散又は合併、
9)人又は会社に対する融資、
10)GI又はTMが指摘する重要事項。

**第3章;取締役会**
第14条 取締役の選任
新会社は、( )名の取締役から成る取締役会により運営されるものとする。取締役の( )名は、GIが指名する者の中から選任されるものとし、取締役の( )名は、TMにより指名される者の中から選任されるものとする。取締役の人数を増加又は減少する場合には、上に規定した代表権は、変わらないものとし、常に案分比例するものとする。

第15条 取締役の職務
各取締役は、選任された後すぐに開かれる定時株主総会で、後任者が選任されるまでその職についているものとする。

第16条 取締役会の定足数
各取締役は、取締役会において一票の投票権を有するものとする。新会社の定款、本契約又は強行法規に別途規定されない限り、いかなる取締役会においても取締役の過半数が定足数を成すものとし、すべての決議は、出席取締役の過半数により採択されるものとする。取締役会がデッドロックになった場合、その事項は、株主総会で決議されるものとする。

第17条 代理の取締役
新会社の取締役が、何かの理由でその職務及び責任を果たせない場合には、同人は、事前に取締役会の合意を得て任意の人を代理の取締役として指名する事が出来る。代理の取締役の任命は、新会社宛の書面による通知により取決めなければならない。あらゆる代理の取締役にも、取締役会に出席して投票する権利及び新会社の事業運営に参加する権利が与えられるものとする。

第18条 役員
新会社には、1名の取締役社長及び( )名の取締役副社長を置くものとする。取締役社長は、GIが任命するものとし、取締役副社長は、TMが任命するものとする。取締役社長は、取締役会の会長になるものとする。

第19条 他の職務
新会社の取締役は、予め株主総会で承認されない限り、他の会社の取締役又は役員の職につかないものとする。

**第4章;監査役**
第20条 監査役
GIとTMは、各々1名の監査役を任命するものとする。監査役は、下記事項に対する資格を与えられると共に義務を負わされるものとする。
(a)新会社の年次貸借対照表、及びすべての関連文書、記録を検査する事、並びに、
(b)当該検査の結果を株主総会に報告する事。

**第5章;会計**
第21条 会計期間
新会社の会計期間は、各年の( )月( )日に終了するものとする。

第22条 会計記録及び会計帳簿の検査
新会社は、毎年会計記録及び会計帳簿の監査を手配するものとし、監査終了後30日以内に当該監査の報告書を本契約当事者の各々に提出するものとする。
公認会計士は、新会社の組織化後速やかに任命されるものとし、常に新会社の会計記録及び会計帳簿、並びに直接又は間接を問わず、新会社の財務状態に関する他の事項を検査する権限を与えられるものとする。上記の検査及び監査のための公認会計士の料金は、新会社により支払われるものとする。
新会社は、運営のすべてに関する真実で正確な会計記録及び会計帳簿を保持するものとする。当該記録及び帳簿については、本契約当事者又は本契約当事者が授権した代理人による検査のために、備え置くものとする。

**第6章;増資**
第23条 増資
新株式が新会社によって発行される場合、その時現存する株主は、持株に比例して当該株式を引受ける権利が与えられるものとする。
前項の規定に従って先買権を有する株主が当該株式の全部又は一部を引受ける権利を放棄する場合には、他の株主は、放棄されたすべての当該株式を比例して引受ける先買権を持つものとする。
上記の通り株主によって引受けられない株式は、株主に提供されるものと同一の価格及び条件で第三者に割当てる事が出来る。

**第7章;株式の譲渡**
第24条 株式の処分
本契約当事者の各々は、本契約相手方当事者のすべての事前の書面による合意なくして、各自の新会社の株式を売却し、譲渡し、質入れし又はその他の方法で処分し若しくはこれに債務を負わせない事を明示的に合意する。
但し、GIは、本契約締結後15年以内に持株の一部をTM又は他のタイ国人に譲渡する事で、GIが総株式の多くとも49パーセントを保有するようにする事に同意する。

第25条 優先権
本契約当事者のいずれかが、持株の全部又は一部を譲渡若しくは売却する事を欲する場合、本契約相手方当事者は、譲渡により当該株式を取得する優先権を持つものとする。他の当事者のすべてが、当該株式を取得する権利を放棄する場合には、自らの株式を譲渡又は売却する事を望む当事者は、当該株式を当事者以外の第三者に売却する権利を有する。但し、当該株式が当該第三者に売却される価格は、本契約相手方当事者に提供される初めの価格を下回らないものとし、また支払条件は、それ以上有利にしないものとする。

**第8章;資金調達**
第26条 資金調達上の協力
新会社の引受資本及び払込資本で償えない新会社の必要資金は、原則として新会社自身の責任で確保するものとする。但し、新会社が当該資金を確保出来ない場合には、本契約当事者は、各自の新会社の持株に準じて当該資金を調達するために、共に協力するものとする。

**第9章;契約当事者の役目**
第27条 機械類等
GIは、新会社と交渉すべき引渡条件及び価格に関しては妥当な条件付きで、新会社によって据付けられ、利用されるべき機械類、装置及び原料の供給を引受ける。

第28条 用地の選択
TMは、工場建設のための最適な用地を選択する事を引受け、新会社のために且つ新会社の組織化に際して新会社に譲渡するために、選択される用地を確保しておくものとする。用地の所在、価格及びその他の諸条件は、本契約当事者が容認出来るものであるものとする。

第29条 技術援助
GIは、本契約の一部をなすべき「付属書1」として本契約に添付の書式で、新会社と技術援助契約を締結するものとする。

第30条 販売
新会社は、新会社が製造するすべての製品に対して、TMをタイ国における独占的販売店として指名し、またECにおける非独占的販売店としてGIを指名する。

第31条 競業
いずれの当事者も、本契約締結日以後相手方当事者の書面による同意なくして、直接又は間接を問わず、何らかの点において本事業と競合する企業に従事し又は当企業と提携しないものとする。

**第10章;政府の認可及び保護手段**
第32条 申請
GIは、本契約締結後出来る限り速やかに、自ら又は代行者を通じて、新会社によって発行されるべき株式のGIによる取得に対する承認、認可又は確認を得るために、タイ国政府に申請するものとする。GIは、努めて当該申請を行うものとし、またTMは、当該承認、認可又は確認を得るに当たり、GIに対し最大限に協力を行うものとする。

第33条 保護手段
第32条に規定する承認、認可又は確認は、形式的及び実質的にGIにとって満足なものであって、下記事項を承認し、保証する認証を含むものとする。
(a)GIは、新会社が発行すべき株式の( )株式を取得する事、
(b)当該株式につき新会社がGIに支払うべきすべての配当金は、米国通貨でGIに送金される事、並びに
(c)新会社の清算又はフェイドアウトを行う場合には、GIにより所有される新会社株式のすべての売却収入又はGI持株に比例した資産の売却収入は、米国通貨でGIに送金される。

**第11章;非開示規定**
第34条 秘密
GI及びTMは、本契約の締結にかかわる事業秘密を第三者に開示しないものとする。TM及び新会社は、本契約及び第29条に規定の技術援助契約に従ってGIが提供する技術情報、ノウハウ及びその他の秘密事項を第三者に開示しない事を保証するものとする。

**第12章;雑則**
第35条 効力
新会社が、投資奨励法に基づきタイ国投資委員会により、形式的及び実質的に当事者にとって満足すべき、奨励される地位及び特権を許諾されない限り、本契約は、効力を発生しないものとする。
本契約は、下記第36条に規定される早期終了に従う場合を除き、両当事者が新会社の株式を保有する限り引続き効力を保つものとする。

第36条 終了又は解除
本契約に違反していないいずれの当事者も、違反している相手方当事者による違反に対し、当該当事者による不平を訴える書面による通知後( )日以内に、当該相手方当事者により当該違反が矯正されなかった場合、当該相手方当事者に書面により通知する事により本契約を解除する事が出来る。
いずれの当事者も、以下に述べる一以上の場合、通知する事なくして本契約を解除する事が出来る。
(a)相手方当事者が資産のすべて又は一部に対し管財人を指名する場合、
(b)相手方当事者が支払い不能になるか又は破産する場合、
(c)債権者のために相手方当事者が譲渡を行う場合、
(d)相手方当事者の資産が差押さえられる場合、
(e)相手方当事者が事業又は資産を私用に供する場合、
(f)相手方当事者が解散又は清算を行う場合。
いずれかの当事者が上記(a)から(f)項に挙げる事態に巻込まれた場合、電子メールにより直ちに相手方当事者に当該事態の発生を通知するものとする。

第37条 不可抗力
当事者は、本契約の義務の遂行における不履行又は遅滞に対し、当該不履行及び遅滞が、暴動、騒乱、戦争、国家間の敵対行為、政府の法律、命令又は規則、出入港禁止、政府又は政府機関による措置、天変地異、暴風、火災、事故、ストライキ、サボタージュ、爆発若しくは当事者の妥当な抑制力を超えるその他の同様な又は異なった不測の事変によって生じる範囲において、当面当該不履行又は遅延につき相手方当事者に対し責任はないものとする。
制定法又は政府の措置の結果、当事者が本契約により権利を持つ利益を受ける事を阻まれる場合、本契約当事者は、当該当事者が本契約により以前に取得していたものと同一の相対的地位の回復を計るために、最大限の努力を払って本契約条件を再検討するものとする。

第38条 通知
本契約に従って又は本契約に関連してなされるすべての通知、報告及びその他の通信は、書面により行うものとし、郵便料金全額前払いで、以下に記載する宛先又は当該書面によりいずれかの当事者から相手方に伝えられて変更した宛先で、当事者各自に正しく宛てた封筒に入れて正しく投函された場合、自ら又は書留航空便で送達する事が出来る。当該通知、報告及びその他の通信は、発信後( )日で受領され、効力が生じるものとみなされるものとする。
宛先:GI;( )、TM;( )

第39条 譲渡
本契約、並びに本契約に基づく権利及び義務は、本契約当事者に専属のもので、いずれの当事者によっても第三者に譲渡されないものとする。

第40条 仲裁
本契約から若しくは本契約に関連して本契約当事者間に生じる論争又は意見の相違は、タイ商事仲裁委員会の援助のもとにタイ商事仲裁規則に従って、タイ国における仲裁により最終的に解決されるものとする。同判断は、最終的なものであり、両当事者を拘束するものとする。

第41条 準拠法
本契約及び本契約から又は本契約により生じるすべての問題は、タイ国法により支配され、当法律に従って解釈されるものとする。

第42条 権利放棄
いずれかの当事者がいかなる時又は期間において、本契約規定の執行をしない事は、当該規定の権利放棄又はその後の当該あらゆる規定を執行する当該当事者の権利の放棄とは解釈されないものとする。

第43条 完全なる合意
本契約は、本契約の主題に関する本契約当事者間の完全なる唯一の合意であって、書面又は口頭を問わず、当事者間にあったその他の約束、合意又は了解事項に取って代わるものとする。本契約の修正、変更及び改訂は、本契約当事者各々の授権役員又は授権代表者により署名された後日の書面による相互の明示的合意による場合を除き、本契約当事者を拘束しないものとする。

第44条 表題
本契約で用いる条項の表題は、専ら参照の便宜上挿入されるものであって、本契約の各条項の解釈に影響を与えないものとする。

第45条 言語
本契約は、英語で締結された。本契約の解釈に当たって、独語又はタイ語への翻訳は、考慮されないものとする。

ジャーマン・インダストリィ・ゲムベハ(German Industry GmbH):
署名欄( )
ミュンヘンにて
日付;( )年( )月( )日
タイ・マニュファクチュアリング・カンパニー・リミテッド(Thai Manufacturing Co., Ltd.):
署名欄( )
バンコクにて
日付;( )年( )月( )日